【"ヤスエでんじゃらすおじさん"インタビュー】これは2023年10月下旬、同年11月11日にSPOILMANとのレコ発ツーマン企画、"劇場"リリース公演「密会vol.3」の開催を控えるヤスエでんじゃらすおじさん(以下YDO)に企画への意気込みを聞くべく、店長である長谷部とYDOが大塚の酒場に集結した記録抜粋である。
(乾杯)
YDO:最近、マジで夜が忙しすぎて。毎日毎日本当にめっちゃレコーディングしなきゃいけないんだけど、まだサビしかないから。だから曲作りからしなきゃいけない。何にもやってない(笑)
長谷部:いきなりヤバイ。忙しすぎて(笑)
YDO:夜も何かしらタイミングでめちゃくちゃ予定入っちゃってるから、最後の1週間だけ何にも入れないようにブロックしてて。11月11日までの1週間はブロックして。でも当然ながらミックスとかマスタリングをちゃんとしようと思ってるから、人に任せるってなると結論、今週、来週でなんとかせないかん(笑)それで前の2曲はがっつりバンドサウンドで録ったんだけど、でもそうするとコスパが悪いなと思って、だから自分で打ち込みで出来るとこまで作ってやるっていうのを今チャレンジしようと思ってて、今後の曲作りをもうちょっとバンドアプローチじゃなくて、本当にヒップホップな感じに寄せていこうかなって。そのきっかけ作りがこの曲作りになると思っていて、だからあえて追い込んでいる訳です(笑)
長谷部:ヤスエさんっぽいですね(笑)
YDO:そうなのよ、追い込んでやんないと(笑)その前の"婚前旅行"とか"闇光"とかも、"闇光"にいたっては1月7日にリリースイベントで1月2日にレコーディングしたからね(笑)その時は11月にUFOクラブから1月の周年でイベントをやってほしいって打診があって。どうしようかなって思ってたんだけど、占い師から「あなたは来年から始めた方がいい」って言われて、その占い師がどの占い師かわかんないけどお告げを聞いて。それもあって、じゃあやろう、レコ発にしようって思ってやったんだよね。でもその時は"闇光"もまだプロトタイプだったから固めてレコーディングする日程が1月に2日しかなくて、11月中にライブやるのは決めちゃってたからそのタイミングでもう1曲"婚前旅行"も録っちゃって。
長谷部:なるほど。
YDO:"闇光"を出したから"婚前旅行"のレコ発ももっと早いタイミングでやろうと思ってMVも3、4月には熱海で撮っていたんだけど、編集とか間に合わなくて。それで9月の誕生日イベントのタイミングでMVだけ出したんだよね。だから11月11日に"婚前旅行"は配信で出そうかなって思ってます!
※"婚前旅行"の音源は9月に行われたリリースイベント来場者特典としてのみ現在配布
※手配の都合で11月中下旬配信開始予定
長谷部:おお!
YDO:まだ配信の会社にも連絡してないんだけど(笑)だからそれをちょっぱやでやんなきゃいけない(笑)あとは今回出す"劇場"なんだけど、それも納期から決めないといけないって思ったから、もう日付を決めて動いていくスタイルを変えずに今年はやっています。これで出せたら2022年までにはやっていない新曲で今年は3曲リリース出来ることになる。
長谷部:今年は既存曲は出さないと。
YDO:ちょっと僕の想いを語っていいですか?
長谷部:お願いします。
YDO:"劇場"のレコ発、というかSPOILMANとのツーマンはどうしても大塚MEETSでやりたかったというのがあって。過去それこそ他の箱でも企画はやってて、三軒茶屋でなんて泥酔して運ばれて(笑)
長谷部:伝説として聞いてます(笑)1時間チューニングしてたやつ(笑)
YDO:そう(笑)深夜1時半まで1時間チューニングし続けて誰も帰れず、俺がもうダイブしてそのまま運ばれて終わるっていう地獄の初回から、第2回目も俺が泥酔して喧嘩して終わるっていう無茶苦茶な企画をやって(笑)それで今回なんでMEETSでやるかっていうと、それこそベルノバジャムズ(YDOの所属するスリーピースバンド)でも昔からお世話になってて、MEETS系を自称してやってたり。とわいえ下北沢とか渋谷とかアクセスのいい場所と比べると大塚はアクセス悪いじゃん。新宿だったり高円寺みたいな分かりやすい場所からすると分かり辛い。そんな中SPOILMANってめちゃくちゃかっこいいバンドと出会って。最初観た時にNIRVANAとかってこういうインパクトと説得力だったんだろうなっていうのをめっちゃ感じて。それでソロバンド以外でも対バンしてるけど、自分のソロバンドの事を彼らも本当にすごくいいと思ってSNSとかでもレスポンスをくれたりして。そういう気持ちっていうのがすごく伝わってきて。そうなった時にじゃあどこで勝負をかけるんだろうってなったら、SPOILMANも自分もMEETSにルーツがあるっていう感覚を持ってるから、その二つがちゃんと意思を持ってミーツでやるよって、これは夢幻かもしれないけど時代に対して意思表示が出来ると思ってる。2023年という時代においてSPOILMANっていうバンドとヤスエでんじゃらすおじさんってバンドが存在しているってことを今示さないとダメだっていう、明確な意思表示。
長谷部:それはすごく伝わってきます。
YDO:少し前の話になるけど、自分が音楽をやってた時にコンプレックスがすごく強くて。ベルノバジャムズとかずーっとやってる中で、当時は■■■に出ないと音楽活動をやってる意味がないって感じていたというか、そこにコンプレックスを感じてて。もちろん他に出てもいいんだけど、■■■じゃないとっていう時期があって。
※■■■(当時屈強なオルタナバンドが集結していた都内のライブハウス)
長谷部:ああ、なるほど。
YDO:それでもっと明確なコンプレックスな時代はやっぱり関西ゼロ世代。東京都内でも関西のバンドの方が人が入るというイメージがあって、あくまでイメージで絶対そんなことは無かったと思うんだけど。どれだけ音楽をやっても、どれだけ頑張っても無視をされ続けるバンド生活、誰にも当たらない20代だったんだよね。で、今でも当たってるのかっていうと別に当たってないんだけど、一ついいきっかけになったのは29歳で始めたちくわテイスティング協会(YDOの参加するバンド)で、その時に少し人に見てもらえる環境があった。その時に自分のアクとかアティチュードのあて方が甘かったなってすごい思って。
長谷部:これまでの。
YDO:そうそう。それまでベルノバにこだわっていたから他のバンドなんて一切やんなかったんだけど、ちくわを始めてそのこだわりがなんか小さかったなって気付かされて。それでめちゃくちゃライブをやり始めた。タガが外れちゃって。
長谷部:多分その頃だと思うんですよね、僕がMEETSに入社したのは。めっちゃベルノバ出てるなって。
YDO:そこからむっちゃライブやりだしたから。
長谷部:月30本以上とかありましたよね(笑)
YDO:そうそう(笑)年間300本とか人によっては500本やってるとか言われるくらいやって。ちくわの活動を通して少し自分の活動に興味を持ってもらえたのもあって、あ、ここだと思って踏み込んだんですよね。でも世界は変わらなくて。今も変わんないんだけど、そのきっかけがあったから少し振り切れたんです。で、話を戻して、なんでSPOILMANとツーマンでこれが意思表示なのかっていうと、過去自分が感じてきたカルチャーとか物の流れっていうのが自分の中ではもちろん凄くコンプレックスだし、そういうのを救うのにこだわった訳じゃなくて。今このツーマンでこの意思表示をしたら、少しだけでも自分の意思とか大塚MEETSの見え方とか立ち位置とかが当時の■■■みたいに変われるんだとしたら、俺はちゃんとここで意思表示をすべきだと思ったね。これはやるぜ、みたいな。MEETSにこんなバンドが居てここで勝負をかけてツーマンやるんだぜっていうのを世の中に提示した、だからもの凄く重要。これが何の脈絡もない場所でやっても意味がない。そこにちゃんとストーリー、歴史があるからMEETSでやる意味がある。そこにこだわってた。
長谷部:企画の話をもらった時、それを強く感じて嬉しかったです。
YDO:今も昔もそんな全部うまくはいかないですよ、でも今この場もそうだけどバンドマン、表現者、ライブハウスが世間に対して投げることを止めちゃったらもう波が立たないですよね。どんな小さな波も。大波いくだろうって投げた小石がぽちゃって終わることもあるわけじゃない、無風状態で。だから意思表示を止めない。で、自分に甘い状態に置かない。常に追い込む…。
長谷部:追い込み方が異常ですけどね(笑)
YDO:(爆笑)曲もないし何もないのにレコ発ですとか言って(笑)それに合わせて曲をアジャストしていくとかやばいよ、そんなの俺が好きなミュージシャンじゃないもん(笑)
長谷部、YDO:(爆笑)
長谷部:でも先に言っておいて自分を追いつけるみたいなスタイルは共感できますね。ヤスエさん程じゃないですけど。有難いことにオファーがあればライブはやれるし、音楽活動をしているって実感はある程度得たまま過ごすことは出来ると思うんですけど、作るってこと、何かを提示するってことに関しては何かしら強制力が自分の中にないと。
YDO:あとは何で急に曲を作り出したかっていうと、死を意識してる。死生観っていうのが凄い大事で。やっぱライブをやってそれでよかったっていう時代が自分の中では長くて、だから生きた証を残さないといけないっていう指令がきてる。昔はもうめっちゃ究極の完璧主義者で完璧なものじゃないと出したくないっていうタイプだったから。それで言うと"婚前旅行"とかも音源には納得いってない部分がある。でもそうでも出してもいいじゃんって今は思えるし、出さないと明日死んでるかもっていうくらいの感覚で人生の長さを感じてるから、(完璧じゃないと)出さないっていう執着心は最近はもう無い。
長谷部:残す、刻むってことに重きを置いてる。
YDO:だから今回はMEETSでやるってことにめちゃくちゃこだわった企画なんですよ。実際は本当に無風なのかもしれない、けどやってる本人としては2023年から2024年にかけてMEETSに出ていることが格好いいっていうトレンドが絶対作れると思ってやってるから。大塚でやるならMEETSでしょって。そういう時代を作りたい。
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●ヤスエでんじゃらすおじさん(通称:YDO)
音楽活動家。
2002年暮れより『ベルノバジャムズ』のVo.& Gt.として活動を開始。
2010年より『ちくわテイスティング協会』に加入すると同時に、YDOとしての活動を本格化。
完全当日メンバー収集型即興セッションバンド『かおてぃっくDEドウシヨウモナイ』を主催、ex.ミドリの小銭喜剛/ex.嘘つきバービー千布寿也/東京カランコロン佐藤全部と結成した『わっしょいキヨシ超絶トリップバンド』『わっしょいキヨシ』、『伝説』など数々のバンドで活動を行っている。またソロでの音楽活動は、『ヤスエでんじゃらすおじさん』名義で活動。ライブでは時にバンド『Y森飯ルド』(YDO、飯田裕、大森靖子、セクシーワイルド)を率い、演奏をすることもある。また、ソロの曲を弾き語る時は、”ヤスエでんじゃらすおじさんの曲を危険すぎるほどに弾き語る”という意味で、『YDOでんじゃらす弾き語り』名義で活動。
年間ライブ本数は、500本越え。
【公式サイト】
https://ydo2438.jimdofree.com/●インタビュー:長谷部祐樹(大塚MEETS店長)